岡山で最も質問しやすい学習塾。岡山・赤磐・備前・瀬戸内・津山・井原・浅口市・勝央町

お問い合わせはこちらから086-201-2245

月曜~土曜9:30~20:00

お問い合わせはこちらから

メール

入試制度は、学び方を決める。

岡山県立高校入試見直しへの提言

 

制度が動けば、学びも動く

2月16日の山陽新聞朝刊に、岡山県立高校の入試制度見直しに関する提言案がまとめられたという記事が掲載されました。特別入試(2月上旬)と一般入試(3月上旬)の二期制を一本化する方向での見直しや、複数校志願の拡大検討などが柱となっています。現在の小学6年生が受験する2029年度入試での制度変更を目指すとのことで、具体的な議論が進んでいくことになるようです。

 

 

受験は長ければいいわけではない

私は、入試日程の「一本化」そのものについては、望ましい方向だと考えています。

現行制度では、2月上旬に特別入試、3月上旬に一般入試があり、実質的に受験シーズンが長期化しています。生徒の精神的負担もそうですが、学校現場にとっても進路指導や授業運営が難しくなる側面があります。その意味で、日程を整理しシンプルにすることは、生徒にとっても学校にとっても一定のメリットがあると思います。

 

 

入試科目は、努力の方向を決める

しかし、私がより強く懸念しているのは、日程の長期化よりも「特別入試の在り方」です。現在、岡山県では約半数の生徒が特別入試を受験しています。そしてその試験科目は3教科。ここに大きな問題があります。

受験が3教科で行われる以上、生徒の意識はどうしてもその3教科に集中します。

現実として、特別入試を第一志望とする生徒の多くが、2学期の期末テストが終わると、理科や社会の学習に十分な時間を割かなくなってしまいます。もちろん「一般入試も見据えて5教科を勉強しよう」と指導はしますが、最初の入試が3教科である以上、子どもたちの心理は正直です。目の前の試験に直結しない教科は後回しになりがちです。

 

 

学びは最後まで伸びる

そして、もし特別入試が不合格だった場合どうなるでしょうか。そこから一般入試までは約1か月。理科・社会を2か月以上放置した状態から立て直すには、あまりにも短すぎる期間です。結果として、再チャレンジの機会が制度上はあっても、実質的には不利な状況での再挑戦になってしまう。

さらに、授業進度の問題もあります。学校の授業進度はさまざまで、教科書内容がすべて終わるのが1月下旬という学校もあり、2月上旬の特別入試の時点では、学習内容が十分に定着できてない生徒もいます(特に数学)。そのようなタイミングで合否が決まってしまうことには違和感を覚えます

学びは本来、最後まで積み上げていくものです。3年間の学習を終えきる前に、早い段階で進路が決まる(あるいは決まらない)という構造は、子どもたちにとって本当に適切なのか。特に、真面目にコツコツ努力してきた生徒ほど、最後の伸びしろを発揮する前に勝負が終わってしまう可能性もあります。これは教育的観点から見ても慎重に考えるべき点だと思います。

 

 

入試は教育メッセージである

だからこそ、今回示された「一本化の方向での見直し」は、単なる日程整理にとどまらず、教科数や評価方法を含めた再設計であってほしいと願っています。一本化によって5教科での受験が基本となれば、生徒は中学3年間を通じてバランスよく学ぶ動機を持ち続けることができます。理科・社会を「後回しにできる教科」にしないことは、基礎学力の保障という観点からも極めて重要と考えます。

 

 

地元で育つという価値

一方で、普通科の学区制については、そこまで気にする必要はないかと思います。記事では全県化を視野に入れた見直しの可能性にも触れられていましたが、私は現行の「5%枠」という仕組みで十分だと考えています。
学区を完全に撤廃すれば、岡山・倉敷への志願集中が一層進み、地域間格差が拡大する懸念があります。そうでなくても、岡山・倉敷以外の学区では地域のトップ校でも定員ギリギリ、もしくは定員割れの状態で、それほど勉強しなくても合格できる、という風潮が徐々に蔓延してきてます。地元の中学生が地元の高校に通い、地域の中で育っていく意義は決して小さくありません。現在の5%枠は、広域的な進学ニーズにもある程度応えつつ、地域バランスも守る現実的な落としどころではないでしょうか。

 

 

入試は“方向付け”である

入試制度は、単なる「選抜の仕組み」ではありません。子どもたちの学び方そのものを規定する力を持っています。3教科入試であれば3教科に偏り、早期決着型であれば早期対策型の学習が広がる。制度が変われば、子どもたちの努力の方向も変わります。

だからこそ、今回の議論では「どの学校に何人合格させるか」という視点ではなく、「中学3年間をどう学ばせたいのか」「高校入学までにどんな力を育てたいのか」という教育の本質から出発してほしいと強く思います。

2029年度入試までにはまだ時間があります。しかし、制度変更の方向性が早期に示されれば、現場も準備ができますし、子どもたちも安心して学習計画を立てられます。県教委には、ぜひ生徒を主役とした、そして中学校現場の実態にも目を向けた丁寧な制度設計を期待したいと思います。

入試はゴールではなく、通過点です。だからこそ、その通過点は、子どもたちに正しい学びの方向性を示すものであって欲しい。今回の見直しが、より良い制度となることを願っています。

ページ上部へ戻る